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谷 穹

谷 穹 Tani Q

1977年滋賀県生まれ。祖父は谷清右衛門。

2000年成安造形大学立体造形クラス卒業後、彫刻家中ハシ克シゲ氏のアシスタントとして国内外の展覧会に同行。
2001年より北村器山氏の次男北村寿三氏にロクロの指導を、長男二代目器山氏に穴窯の指導を受ける。
その後、家業の清右衛門陶房に勤務。

2007年中世の信楽に多く見られる双胴式穴窯を築窯するが迷走、毎年改良した末、2012年現在の単室式穴窯築窯。

室町時代の信楽の壷について考察中。

谷穹 WEBSITE

<コレクション>
2014年《信楽 大壷》(2014年制作)ポートランド美術館(アメリカ)

<主な個展>
2005年「不在庵」ギャラリー陶夢(滋賀)
2006年「小路苑」小路苑(東京) 「LAND e SCAPE」成安造形大学ギャラリーアートサイト(滋賀)
2007年 キュレーターズアイ「LAND Re SCAPE」ギャラリーマロニエ(京都)
2008年「Gundaroo」Old Saint Lukes Studio Gallery(オーストラリア)
2013年「谷穹陶展」ギャラリー陶園(滋賀)
「LAND e SCAPE」滋賀県陶芸の森 陶芸館ギャラリー(滋賀)

<グループ展>
2015年「これからの、未来の途中ー美術・工芸・デザインの新鋭11人展」 京都工芸繊維大学美術工芸資料館

<その他>
2007年 双胴式穴窯 築窯
2012年 単室式穴窯 築窯
2014年「大学美術館を活用した美術工芸分野新人アーティスト育成プロジェクト」

<ステイトメント>

私の要素は「壷」です
「壷」の妙は「壷」でしかないことです
「壷」とは何も表現しないものです
ゆえに それはいつまでも不完全で不確定なものとして存在し
季節とともに移ろいながら持ち主とともに枯れてゆきます

壷のない国はありません
壷はその土地の風土によって大きく変化します
壷はその国の歴史そのものを表しています

その中でも古信楽(12世紀から15世紀)の壷は他に類を見ません
無骨で粗雑にも見て取れる端正なつくりや自然釉による独特の景色は
存在そのものが「遊び」だと感じます
「古信楽」は日本の美意識の根幹ともいわれています
しかしわたしの制作は再現を目的にしている訳ではありません
世阿弥が芸にまつわる多くの書物を残し
民衆によって芸の評価がなされてきた
室町幽玄思想の美意識を体現させたいのです

私のもうひとつの要素は「仕組み」です
くぐる またぐ かがむ よける ちかづく
のぞく すわる にじる さわる みあげる
場が観者の行動を提供する仕組みは
茶事などにもおおいに利用されてきました
場に与えられた行動は滑稽で人間的な要素を引き出します
仕組みの中において壷は「うつわ」であり空(カラ)でもあります
空間の中心であり彼岸です
私の仕組みの要素は壷さながらの不完全さにあります

                     谷 穹